加茂の郷土芸能
加茂地区には、獅子舞の他にも郷土芸能が伝承されていました。主なものをあげると次のとおりです。
これらの郷土芸能は、加茂地区の過疎化・高齢化により、現在では行われなくなってしまいました。

◎刃踊り、扇子踊り

刃踊り

扇子踊り 千町の誓願寺

 加茂地区では、千町、荒川(大福寺にて8月23日の夜)、下津池、中之池と各地で盆踊りが行われていましたが、今ではすべて行われなくなってしまいました。
 千町の誓願寺の盆踊りは一番最近まで行われていて、昔は刃踊り、扇子踊り、甚句踊り、奴踊りの4種類が踊られていましたが、刃踊りと扇子踊りのみが平成に入ってからも継承されていました。

 毎年、8月15日の夜、千町(せんじょう)の誓願寺(せいがんじ)においておこなわれていた盆踊り大会 にて踊られていた踊りです。
 西暦1585年、豊臣秀吉の四国征伐の際、長曽我部元親の援軍として、 土佐から山越えをして伊予の国に入った伊東近江守祐晴が訳あってそのまま住みつき、その時捧持していた十一面観音を誓願寺を建立して奉りました。
 そして、家臣60余名と共に旧7月17日、18日の縁日の夜、いくさで死んだ人たちへの供養踊りとして奉納したのがはじまりといわれています。
 昔は、8月17日、18日の誓願寺の観音まつりの中で行われていましたが、時代の流れの中で8月15日の夜に行われるようになりました。
 慣習として、刃踊りを先についで扇子踊りを踊ります。
 誓願寺の盆踊り大会は、加茂青年団と千町自治会によって毎年盛大に開催されていましたが、過疎化の波に押され平成10年を最後に行われなくなってしまいました。

千町誓願寺の盆踊りについて(加茂公民館だよりからの転記)

  ☆刃踊りの歌

   土佐はよい国 南をうけて さつまあらせがそよそよと
   桜三里は 源太のしおき 花は咲ことも実はなるな
   お前百まで わしゃ九十九まで 共に白髪の生えるまで
   咲いた桜になぜ駒つなぐ 駒がいさめば花が散る
   あなた百まで わしゃ九十九まで 共に白髪のはえるまで

       刃踊りの歌(52秒)-(255K.mp3) H12.1.5

  ☆扇子踊りの歌

   千町焼き米 河ケ平煙草
      飛んで兎之山 牛蒡どころ
   西条 あの町 あいのいうたが
      西条 西条のどの町やら
   佐渡と越後のどの桜

       扇子踊りの歌(35秒)-(274K.mp3) H12.3.15

◎おんびき踊り

おんびき踊り

 加茂地区の藤之石本郷に伝わる郷土芸能です。
 いつ頃、だれが作ったか定かではありません。
 
 農業の道具の箕のうつ伏せになっている状態から「びき」(おおきな蛙) を連想して始められたものと伝えられています。
 「蛙が鳴くと雨が降る」という俗語から「雨乞い踊り」と考えられて います。

 昭和3年、昭和天皇がご即位のご大典の際、藤之石本郷総出で祝典に参加して 西条のまちで踊って好評を博しました。
 地区のみなさんの復活への強い要望により、古老のみなさんの記憶をたどり ながら、半世紀あまりの歳月をいっきに縮めて昭和61年に復活させました。
       おんびき踊り(60秒)-(469K.mp3)
H12.3.15

◎餅つき音頭

餅つき音頭
 加茂地区の藤之石本郷に伝わる郷土芸能です。
 いつ頃、だれが作ったか定かではありません。
 藤之石地区では、「正月に餅をつくと甑(こしき)が飛ぶ。」と 言い伝えられてきました。事実、正月に餅をつかない風習が 昭和30年頃まで続いていました。
 餅つき音頭は、そんな背景の中で生まれ、受け継がれてきたようです。

  ☆餅つき音頭

   今年は豊年餅をつく おいべっさんの餅つきじゃ 三石六斗じゃ
   にわかつきなら小豆もいるまい 黄粉もいるまい
   やれつけ それつけ エッサッサ

   今年や豊年 ヨイトサッサヨイトサノサ 穂に穂が咲いた
   道のコラショイ 小草もドレ米 がなる。
   お餅があがりてやれたてしょうなら やれたてしょうなら
   ドッコイショウ。

   これこれ才蔵 餅つきばかりはすまぬから
   謎をかけるが解くかいな。
   易い謎なら解いてお目にかけましょう。
   あんな向こうの破れ障子とかけて何と解く破れ障子と解く

   いやいやそうじゃない わしが謎をかけたのじゃ
   知らぬからもって太夫さんにじわりと渡そう
   あれまたきれいに解こうなら 春のうぐいすと解くわいな
   それまた太夫さん 心は

   これはどうでもおかかよ 春を待つではないかいな
   おかか ちがない ちがない
   くるり くるりとヨイトサッサ ヨイトサノサ
   まわるは淀のコラショイ川瀬の
   淀の川瀬の水車

   こりゃ お餅があがりて やれたてしょうなら
   うれたてしょうなら どっこいしょう。

       餅つき音頭(37秒)-(293K.mp3) H12.3.15

◎加茂音頭
総合文化祭での加茂音頭
 終戦後の昭和26年、歌詞を公募し、高木貞一先生の作曲、泉順治郎先生の作曲、泉ツネヨ 先生の振り付けで制作されました。
 広く村民に親しまれていましたが、昭和31年 西条市と合併して以来消滅状態となっていました。
 昭和52年、加茂公民館が中心となり、高木貞一先生に再作曲を 依頼し、藤間久美也先生の振り付けで復活しました。
以来、毎年加茂地区総合文化祭にて踊られていましたが、平成10年代になり踊られなくなりました。

       加茂音頭(44秒)-(348K.mp3)
H12.3.15

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